理想的な女性という呪い

2019年09月29日

 いらっしゃいませ。

この社会では、女性は生きているだけで自己肯定感を削られます。

それは恋愛、結婚、子供との関係、そして人生にまでも大きく影響します。

それは何故なのか?

考えていただきたいと思い、今回の記事のテーマとしました。

好ましい女性像とは?

慎み深く、控えめで、笑顔を絶やさず、優しくて、会社でも意見を言わずにニコニコして問題の解決よりも和を重んじ、社会への問題提起もせず、男性には口ごたえせず、いつも身なりを整えて美しくしている

こんな感じでしょうか。

更に若くないと価値が無いと知っており、二十代後半以降は年齢的に女として価値が低い事を自覚して謙虚、と続くでしょうか。

ハッキリ言いますが、これは「自己肯定感が物凄く低く、他人からの評価に依存している人の行動」です。

慎み深く、控えめで、笑顔を絶やさず、優しくて・・・ここまではまだ良いのですが、問題はこの先です。

「会社でも意見を言わずにニコニコして問題の解決よりも和を重んじる」これは男性でも多いですが、嫌われ役は買いたくないという守りの姿勢が強いとこうなります。

そしてみんなで泥船に乗っていると気付きながらも仲良く沈没するのです。

ここでハッキリと物申せる人が存在する場合、嫌われ役は全てその人にお任せし、自分はニコニコしているだけの良い人ポジションを守ります。

これのどこが優しいのでしょうか。

(私も昔こんな感じだったので言えない人側の感覚もとてもよく解ります。無理に変われないのも解ります。しかしながら本当の意味で優しい訳では無いというのも解ります。)

「社会への問題提起もせず、男性には口ごたえせず 」これも同じです。

嫌われたり怒られる可能性が有る事はしたくない訳です。

男性にもこういった人は多く居ますが、女性と男性とでは理由が異なる場合も多いです。

今回は女性をテーマにした記事なので、女性にのみスポットをあてていきたいと思います。

「選ばれるのが女の価値」という呪い

社会が求める女性らしさが先述したような内容であるならば、その逆の行動を取るという事は「女性らしくない」という評価に繋がります。

「女性らしくない」

「女らしくない」

「それでも女か」は、全て悪口です。

無自覚でこのような言葉を他人に投げつけている人は、自分は悪口を言っているのだと自覚していただきたいです。

そんな事を思われかねないリスクを負ってまで物を申すというのは、多くの女性にとっては怖いのです。

異論を唱えれば「ヒステリック」

厳しければ「お局様」「あんなんだから結婚できないんだ」

と、性別は関係無い筈の仕事の場ですら女性性を求められて悪口を言われかねないのです。

好き好んで悪く言われたい人なんてあまり居ません。

女性が守りの姿勢に入りやすいのは「いつまでも可愛いと思われたいから良い子のポジションで居る」というよりは、「せめて悪口を言われたくないので黙っている」の方が、表現としては適切なのではないかと感じます。

例えば、世の中には結婚をしないという選択をしている人達が居ますが、「負け惜しみ」「誰にも選ばれないだけ」と、どうも本気で思っているらしき人達というのも存在しています。

年下女性のセクハラや痴漢被害を救った女性を「お前が触られないから嫉妬したんだろ」と、頓珍漢な事を言ってしまう人も居ます。

これら全ての根っこには「女性は男性に選ばれる生き物だ」「女性は男性からの評価でしか評価されてはいけないのだ」という、大昔に生まれたまま未だに残る、化石のような価値観が有ります。

「夫の浮気を許す妻」が「器が大きい」と称賛されるのもそうです。

そんな訳ないでしょう。

本当に気にならないので怒りも悲しみもわきませんという妻なら「それはその女性の仕様だね」で済むのですが、「男性はそういう生き物で、女性は大目に見てあげなきゃ」という性別的な役割を意識して感情に蓋をしているだけなのであれば、それは自己肯定感が低すぎます。

器が大きいどころか自分を幸せにする気も無いだけです。

正気ですか。という話です。

それを賛美し、怒ったり咎める女性を「器が小さい」「心が狭い」「男を理解していない」と脅す。

そうは思われたくない、言われたくないと怖がった女性は、自分の気持ちや尊厳よりも、聞き分けの良い女性で居る事を選ぶ。

そんな「人でなしの為の仕組みにはめられただけの可哀想な女性」を賛美しないでいただきたいです。

「本当は嫌だ」と、誰もが言って良いんです。

女性は男性や社会にとって都合の良い存在なんかでは有りません。

一人一人が違う輝きを持った、尊厳有る人間です。

女性の若さと美しさ

女性は若い方が良い

美しくなければならない

男性に選ばれる魅力が無ければならない

そう「強く」感じている女性は、自分よりもチヤホヤされる女性を目の敵にする傾向が有ります。

しかしそれは「嫌い」というよりは「恐怖」からくるものであると思います。

「選ばれる魅力が有る私」の座が脅かされるという事は、自分は価値の無い存在になってしまうという事です。

本当は仕事が出来るのに、多くの人の力になれているのに、そんな自分の素晴らしさよりも、男性から見ていかに好ましいのかに重きを置いてしまう。

こうなるとただただ辛くなります。

何故なら人は皆年をとるからです。

美しさは変化します。

幼年期の頃の可愛さと大人の可愛さは同質では有りません。

しかし「若いね」「可愛いね」とチヤホヤされてきていると特に、「自分の内面は評価の対象外である」と感じてしまい、「若く見せなければ」「可愛くいなければ」と、男性から選ばれる要素にしか自分の価値を見いだせなくなります。

「若くなければ価値が無い」

「選ばれなければ価値が無い」

そう思ってしまうと、更に若くてモテる女性が現れた時に敵意が生まれてしまい、誰も幸せでは有りません。

「あんな子のどこが」と思いながらも一番傷ついているのは本人だと思います。

狭量になるから魅力的な女性を敵視してしまうのではありません。

彼女たちもまた、怖いんです。

私は年下の女性に対して

「今が一番良い時だよ」

「若いから可愛いね」

「そのうち年取るから今のうちだね」

こういった言葉は使わないようにしています。

その子達の先々を呪いたくないからです。

私自身十代の頃はバイト先で「えっ!17歳!?わかーい!可愛いねぇ!やっぱり若いからなんでも似合うね」と言われました。

あなたとは波風を立てずに付き合いたいですという、その人達なりの友好の姿勢と気遣いであった事は解っていました。

しかし、私はこう感じていました。

「私もこの人達の年齢になったら年下に言ってあげる側にならないといけないのかな?面倒臭いなぁ。茶番だなぁ」と。

だいぶひねくれていますが、そう感じていたんです。

何故なら私の目には、そのセリフを口にするどの世代の女性も、皆それぞれに魅力が有ると感じていたからです。

例え口先だけで本心ではなかったとしても、「若くて良いな。私なんてもう」といったセリフは、聞きたくありませんでした。

女性性と自分は切り離して考えること

世の中から浴びせられてきた「女性のあるべき姿」に寄せていく必要は有りません。

男性だってそうです。闘争心、競争心、出世欲が無くても、リーダーシップを取れなくても別に良いんです。

女性だって、控えめとは程遠くても、出世欲旺盛でも、別に良いんです。

大多数から好かれるアイコンからは離れていくでしょうが、そもそも別の人間に寄せていこうなんて無理が有るんです。

社会的に言う「理想的な女性像」「女性性」に、自分がどれだけ当てはまっているのかなんて考えてしまうと、別人を演じる人生にしかなりません。

恋愛でもそうです。

「女の子らしいと思われないと好かれない」

「良い子で居ないと嫌われる」

「社会問題について意見を言ったらきっと引かれるので何も考えていないフリをする」

「お金を稼ぎたいという欲は隠さなければ」

「女性学や男性学には興味が無いフリをしないと」

そうやって別人を演じて好かれても、虚しいだけです。

持論ですが、女性こそ強く賢く居なければ、人でなしにあっという間に搾取されます。

女性にか弱く居て欲しい人、それで得をする人はどんな人なのか考えてみてください。

女性を一人の人間として尊重している男性ならば、女性を自分よりも下に置いて踏みつけようとはしません。

では「女はおとなしくしていろ」「男性にとって好ましくあれ」「俺よりも弱く居ろ」と言いたいのはどんな男性なのでしょうか。

「自分で自分を高める事が出来ないから相手を下位に置くことでしか優位に立てない人」か「女性を人間として見ていない人」かの、どちらかです。

そんな人達がバラ蒔いた「女性たるものこうあれ」というメッセージを鵜呑みにして惑わされ、傷つくのはもうやめましょう。

今は男女共に大きな意識の変化が起きていて、この流れは止められません。

今後は、自分の性別を「人生を思いっきり楽しむ為の材料」に出来る時代に変わっていく筈です。

女性をテーマにすると一つの記事ではとても収まらないので今回はこの辺りにしておこうと思いますが、一つだけお伝えしたいのが、

「あなたはあなた。それだけで特別で素晴らしい。他の誰かになろうとしなくて良い」という事です。

女性達にかけられている多くの呪いが早く解けて欲しいと願います。


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